変性繋靭帯炎にはフィッシュテール・バーが有効?


変性繋靭帯炎(DSLD:degenerative suspensory ligament desmitis)とは
繋靭帯が消耗することで球節が過度に沈下し、慢性的な跛行を呈す疾患。持続的な著しい疼痛から安楽死を必要とすることも多い。両前肢、両後肢に生じる可能性があり、後肢に生じる場合は直飛が伴うことが多い。
疼痛をコントロールするために器具などを用いた球節の保持が試みられる場合もあるが、球節沈下の進行を止めることはできない。

 

変性繋靭帯炎の原因
繋靭帯に限らず、結合組織に広範にプロテオグリカン(糖とタンパク質の複合体)が蓄積することが原因であると考えられており、病理学検査により、繋靭帯、浅屈腱、深屈腱、膝蓋靭帯、項靭帯、心血管系、胸膜にプロテオグリカンが多く蓄積していることが判明している。プロテオグリカンが蓄積する原因は完全に解明されていない。

 

フィシュテール・バーとは

変性繋靭帯炎にはフィッシュテール・バーが有効?

特に後肢に発症した変性繋靭帯炎に対する装蹄療法として、フィッシュテール・バーと呼ばれる特殊蹄鉄の装着が行われる。球節の真下に至るほどの長いバー部分により繋靭帯の負担を軽くするとともに、やや薄尾になっていることで繋靭帯にかかる負担を深屈腱に分配することを目的とした蹄鉄である。落鉄を考慮すると前肢への装着は難しいが、後肢に装着した場合には、繋靭帯の負担が軽くなることにより、疼痛を多少和らげる効果が期待できる。

 

 

 

<参考資料>
Lameness in Horses 6e p.644