シヴァー病 (shivering)

シヴァー病 (shivering) とは

 

後肢を挙上および外転した状態で保持し、震えさせる疾患。同時に尾根を持ち上げる場合もある。歩様異常が毎歩ではなく間欠性に見られることもある。機械性跛行に分類される。

 

機械性跛行とは、筋肉を支配している神経の異常や、筋骨格系の機能異常・構造異常に起因する跛行をいう。

 

 

原因
● 正確には明らかになっていないが、末梢神経や神経筋接合部の異常であり、インフルエンザ、腺疫 (strangles) など全身性疾患に続発すると言われてきた。しかし、最近では多糖類 (polysaccharide) の蓄積によるミオパシー(筋疾患の総称)が原因であると示唆されている。
● 重種馬が罹患しやすいことが知られている。ただし、多糖類の蓄積異常を呈しながらも無症状である重種馬は非常に多い。

 

臨床徴候
● 特徴的な後肢の動きは初期には間欠的に見られ、後退させると悪化する。全身の震えが観察されることもあるが、慢性化による衰弱が原因だと考えられている。実際に、馬は徐々に衰弱し、削痩していく。
● 神経学的検査では異常は認められない (神経の伝達に異常は認められない)。

 

治療法
基本的に治療法はない。高脂肪低炭水化物の食餌により臨床徴候を改善することができるが、進行してしまってからではほとんど改善が認められない場合が多い。

 

予後
徐々に進行するため、予後は悪い。早期の食餌療法により改善することもあるが、常に再発するリスクがある。

 

<参考資料>
Lameness in Horses p. 769-770