線維化筋症 (fibrotic and ossifying disease)

線維化筋症 (fibrotic and ossifying disease)とは

 

筋線維が損傷した後に線維化とともに癒着することによって歩様異常を呈す疾患で、線維化に伴いカルシウムが沈着する場合もある。主に半腱様筋、半膜様筋、薄筋、大腿二頭筋の癒着が生じ、歩幅の前方短縮と後肢の急速な尾側牽引が観察されるため、goose stepと称される。後肢の過剰屈曲は生じていない点で、鶏跛と区別できる。機械性跛行に分類される。

 

機械性跛行とは、筋肉を支配している神経の異常や、筋骨格系の機能異常・構造異常に起因する跛行をいう。

 

● 歩様の異常が顕著なのは、線維化と癒着が半腱様筋の動きを制限するからである。
● 半腱様筋の傷害が大きければ、肢をはたく方向が尾側方向になる。薄筋の傷害が大きければ、肢を内側方向に動かすようになる。
● 筋は線維化に伴って硬化し、肥厚する。

 

原因
● 原因は常に外傷で、スライディング・ストップ、筋肉内注射、後肢が滑って何かに引っかかったとき、他の馬に蹴られたときなどに筋が損傷することで、発症する。
● 分娩時もしくは出生直後の筋断裂が原因となる場合もある。

 

治療法
線維化した筋の外科的切除、半腱様筋の腱切断術 (tenotomy)、半腱様筋の筋切離術 (myotomy) が行われる場合がある。術後の予後は良いことが多い。

 

<参考資料>
Lameness in Horses 6e p.818-820