IHCS 2019:蹄内の軟部組織が損傷している症例の対処法

2019年のインターナショナル・フーフ・ケア・サミットにおける Scott Fleming氏 (Rood & Riddle Equine Hospital 獣医師)の講演の一部をご紹介します。以下の掲載内容は、あくまでも Dr. Scott Fleming の主張をご紹介するものです。

 

● 蹄関節の内側側副靭帯が損傷した場合、休養明けのリハビリ運動を行う際に内側の鉄枝の鉄幅を広くすることで、蹄内側を地面に潜り込みにくくする。

 

● 深屈腱の蹄骨付着部が傷んでいる場合には、最大で10〜12°蹄踵を上げることで痛みが和らぐ。しかし、蹄踵を大きく上げることで裂蹄になりやすくなる。裂蹄が生じた場合は、裂蹄部の負面に荷重が載らないようにして、裂蹄部以外の蹄底に充填剤を入れると良い。

 

● 蹄踵が潰れてPAがマイナスになっており、慢性の蹄踵痛がある場合、蹄踵部の負重面を広くした蹄鉄を装着することで蹄踵部に加わる荷重を分散し、蹄踵の潰れを抑える。また、蹄尖部だけでなく蹄踵部を上彎状に加工することで、着地時の蹄踵への衝撃を和らげる。

 

トウ骨(navicular bone)を固定している不対靭帯(distal sesamoid impar ligament) が傷んでいる場合には、上彎を上げるとともに蹄後半部をプレートで覆うことで蹄叉にかかる圧力を小さくする。蹄踵が潰れてしまっている場合には、蹄叉以外の蹄底を革パットで覆うか蹄底充填剤を充填し、トウ骨(navicular bone)を圧迫する力がかかりにくいようにすると良い。