馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会のレポート

2019年9月19〜21日、ベルギー・ゲントにて「馬のスポーツ医療とリハビリ」をテーマにした研究発表会が開催されました。この研究発表会は、動物のスポーツ医療に力を入れている大学とヨーロッパ獣医理学療法およびリハビリ協会が共同で年に1度、テーマを変えて開催しているもので、2020年は9月3〜5日にスイス・チューリッヒにて「運動学」をテーマに開催されます。
ここでは、2019年の研究発表会における講演の中から、いくつかの講演の概要を紹介致します。

馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会のレポート記事一覧

2019年9月19〜21日にベルギー・ゲントにて開催された「馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会」における Aziz Tnibar氏の講演の一部をご紹介します。仙腸靭帯炎とは腸骨を仙椎に固定している仙腸靭帯の損傷は、軽度の跛行やパフォーマンスの低下の原因となることが知られている。他にも、間欠的な(見られたり見られなかったりする)跛行、起立時に特定の後肢に長時間荷重したがらない、臀筋の左右非...

2019年9月19〜21日にベルギー・ゲントにて開催された「馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会」におけるJean-Marie Denoix氏の講演の一部をご紹介します。頸椎のトラブルと言えば不安定な頚椎によって頚髄が圧迫されることで生じるウォブラー症候群が有名だが、頚髄の圧迫により常に腰痿を発症する訳ではない。頸を曲げにくくなるだけであることもあるし、前肢の運動失調が重度であることもある...

2019年9月19〜21日にベルギー・ゲントにて開催された「馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会」における Colin Roberts氏の講演の一部を紹介します。馬ヘルペスウイルス4の感染により鼻肺炎、馬ヘルペスウイルス1の感染により流産や神経症状を呈す。馬は、空気中のウイルスを吸い込むことで感染する。ヘルペスウイルス1に罹患した馬は、犬座姿勢を取ることが多い。また、動揺して興奮する馬もい...

2019年9月19〜21日にベルギー・ゲントにて開催された「馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会」におけるJean-Marie Denoix氏の講演の一部をご紹介します。● 画像診断技術の発展とともに多様な所見が発見されるようになり、獣医師を悩ませている。しかし、重大な問題なく競技に出場している競技馬は多く存在するし、左右対称な馬は存在しない。したがって、画像診断所見のみをもって過剰解釈や...

2019年9月19〜21日にベルギー・ゲントにて開催された「馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会」におけるAnnamaria Nagy氏の講演の一部をご紹介します。X線透過性の低い薬液(iohexol, Omnipaque 300mg/mL)を注入し、局所麻酔液の浸潤度について調査したので結果を報告するとともに、診断麻酔に関する近年の報告を紹介する。ただし、メピバカインの分子量(246g/...

2019年9月19〜21日にベルギー・ゲントにて開催された「馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会」におけるMark Bowen氏の講演の一部をご紹介します。● 軽い運動では30〜40%のエネルギーが炭水化物によって賄われるが、ギャロップのエネルギーは全てグリコーゲンから生成される。グリコーゲンの主な源はデンプンである。長時間の持久運動が求められるエンデュランス競技でも、極度の疲労状態に陥ら...