殺菌・消毒が必要となる蹄病記事一覧

蹄骨炎とは炎症によって蹄骨の脱灰(demineralization)が進行する疾患。脱灰により骨密度が低下するため、レントゲン画像においてX線透過性の亢進が認められる。蹄骨には骨髄を容れる髄腔が存在しないので、骨髄炎は生じない。前肢に多く認められる。なぜ炎症によって脱灰が進行するの?骨は、常に破骨細胞が古くなった骨を破壊して吸収し、一方で骨芽細胞が新たな骨を形成することで一定の形が保たれている。こ...

蹄癌(canker)とは蹄叉を中心にして生成された軟らかい異常組織を指す。悪臭を放ち、表面が毛羽立っている、またはカリフラワー状である。カッテージチーズ状と称されることもある。進行している例では異常組織が蹄叉から蹄球にかけて広がっており、触ると容易に出血する。また、異常組織は感覚が鋭敏なので増殖に伴い跛行を呈す。ただし、蹄球など他の組織に広がるまで疼痛徴候を呈さない場合もある。インターネットで “...

角壁腫とは蹄壁と蹄骨の間に形成されたケラチン(角質を構成するタンパク質)と扁平上皮細胞を含む異常組織を指す。蹄尖〜蹄側に生じる場合が多い。また、蹄底膿瘍や外傷が先行することが多いため、細菌感染が引き金となって異常組織が増殖すると推測されている。角壁腫の大きさが大きくなるにつれて知覚部が圧迫されるため、跛行が顕著になる。蹄底組織の異常、蹄冠の膨隆が認められる場合もある。角壁腫による圧力により蹄骨の一...

蹄に用いる消毒薬を選択するためには、消毒薬の特性を知っておく必要がある。そこで、以下によく用いられる消毒薬の特性を記す。蹄に使う消毒薬の選び方の原則@ 対象とする菌を殺菌することができるものA 角質や知覚部のダメージがなるべく小さいものB 有機物の影響を受けにくいもの=糞や尿が付着しても効果が小さくなりづらいものパコマ<メリット>● 刺激性が低い<デメリット>● 有機物の影響をとても受けやすい (...

● 肢端の感染症が疑われる場合、または危惧される場合、感染を制御するために抗菌薬の局所灌流を行うと良い。使用される抗菌薬は、濃度依存性抗菌薬であるアミノグリコシド系が一般的である。抗生剤の全身投与量を減らすことで副作用を抑えることができるだけでなく、局所灌流によって組織中濃度がMICの25〜100倍となるため、高い効果が期待できるとされる。● 抗菌薬を静脈内投与した後、20〜30分は駆血帯を巻いて...