ベルギー研究発表会:馬ヘルペスウイルス1に起因する運動失調の対処法

2019年9月19〜21日にベルギー・ゲントにて開催された「馬のスポーツ医療とリハビリに関する研究発表会」における Colin Roberts氏の講演の一部を紹介します。

 

馬ヘルペスウイルス4の感染により鼻肺炎、馬ヘルペスウイルス1の感染により流産や神経症状を呈す。馬は、空気中のウイルスを吸い込むことで感染する。

 

  • ヘルペスウイルス1に罹患した馬は、犬座姿勢を取ることが多い。また、動揺して興奮する馬もいる。ステロイド系抗炎症薬の投与は免疫抑制という大きなデメリットを伴うため、アセチルサリチル酸(6mg/kg, 24時間ごと)の投与が望ましい。
  • ヘルペスウイルス1により神経症状を呈しても、致死率は低い。同様に神経症状を呈す疾患としてボツリヌス症(ボツリヌス菌が産生する毒素の中毒症で、ネズミが菌を運ぶことが多い)、ロリトレムB(ペレニアルライグラスに感染した菌が産生する毒素)中毒が挙げられるが、これらでは休養が重要であるのに対して、ヘルペスウイルス1ではより早急にスリング(吊起帯)を用いるなど、積極的な介助が必要となる。とにかく横臥させないことが重要で、一般的に起立補助さえできれば後遺症なく回復するため、安易に安楽死に踏み切るべきではない。
  • もう1つ重要なことは、罹患馬の隔離だ。これは感染を拡大させないために非常に重要だが、難しい。Roberts氏は、乾草を積み上げて罹患馬の隔離馬房を作成した例の写真を提示し、隔離の重要性を説いた。また、消毒薬は徹底した洗浄を行った後にのみ効果を発揮することを強調した。