IHCS 2019:クラブフットの原因と対処法

2019年のインターナショナル・フーフ・ケア・サミットにおける Simon Curtis氏(装蹄師、Ph.D)の講演の一部をご紹介します。以下の掲載内容は、あくまでも Dr. Simon Curtis の主張をご紹介するものです。

 

クラブフットの原因は、骨と筋・腱の成長のアンバランス、栄養、痛み、肢勢などであると言われており、クラブフットの対処法として、以下の方法が推奨される。

  1. 負重しても蹄踵が接地しない場合に薬剤(オキシテトラサイクリン)を投与する。
  2. 馬房内で休養させた後、軽度な運動を行う。同時に栄養の摂取量も控える。
  3. 理学療法:蹄尖張り出し蹄鉄の装着を行う。張り出し部の長さは最大でも1/2インチ(約1.3cm)とする。
  4. 以上の対処による反応が思わしくない場合に、深屈腱支持靭帯の切断術を行う。

 

Dr. Simon Curtisによるクラブフットの調査報告・クラブフットの外科的対処法
Dr. Simon Curtisが2012年に発表したクラブフットの調査報告を紹介したい。373 頭のサラブレッドの仔馬を調べたところ、荷重時に蹄踵が接地しない蹄もクラブフットも見られなかったのは 257 頭(発生率31%)で、クラブフットが見られた仔馬のうち、左前がクラブフットだったのは 18 頭、右前がクラブフットだったのは 54 頭(75 %が右前)だった。荷重時に蹄踵が接地しない蹄が最初に確認された仔馬の日齢の平均値は 53.5日 (20〜110日)だったのに対し、53日齢より前にクラブフットが確認された仔馬はいなかった。また、荷重時に蹄踵が接地しない蹄をもつ仔馬の割合は1月生まれから4月生まれにかけて順に増加する一方、クラブフットをもつ仔馬の割合は1月生まれで最も大きく、4月生まれで最も小さい。早生まれの仔馬では、荷重時に蹄踵が接地しない蹄が早期に認知されにくく、早期から正しく対処されないためにクラブフットに発展しやすいからではないか、と考察されている。

獣医学的には、以下の5つの項目をすべて満たす場合に深屈腱支持靭帯の切断術に踏み切るべきだとされている。

  1. 装蹄療法に反応しない
  2. 蹄角度が90°に近い
  3. 蹄骨の骨溶解が見られる
  4. 荷重時に蹄踵が接地しない
  5. 1才以上である。

 

<参考文献>
1. Simon J Curtis (2012) The incidence of Acquired Flexural Deformity and Unilateral Club Foot (uneven feet) in Thoroughbred Foals. Congress on Equine Medicine and Surgery
2. Lameness in Horses 6e p.1147