蹄骨の骨嚢胞様病変 

感染性骨炎(infectious osteitis)だが、嚢胞様に見える病変
蹄関節につながっていない嚢胞は、感染性のものである可能性がある。刺創による感染性蹄骨炎を抗生剤で治療すると、蹄骨内に濃縮された膿のポケットができることがある。これは、明らかにX線透過性が高く、骨嚢胞のように見える(Clinical Radiology of the Horse 3e p.78 Fig.3.15 b)

 

非感染性の骨嚢胞様病変(osseous cyst-like lesions)
蹄関節に通じる、もしくは蹄関節に近い骨嚢胞様病変はまれに見られ、蹄レントゲン・スカイビュー像で容易に観察できる(Clinical Radiology of the Horse 3e p.78 Fig.3.16 a)。
〇 この病変が見られた場合、二次性の変形性関節症がないことを確認する必要がある。
〇 掌突起に見られる窪みは蹄関節の側副靭帯が挿入する部位で、正常像である。
〇 一般に、正中に見られる骨嚢胞様病変が跛行の原因となっている場合、馬房内休養で改善しないことが多い。特に3歳以下では、外科的掻爬が有効なことがある。
〇 蹄関節の辺縁にある直径1−3mmの病変が跛行の原因となっている場合は、馬房内休養による予後が比較的良い。
〇 骨嚢胞様病変は、購入前検査で比較的健康な馬において発見されることがあるが、重要性は予測できない。
〇 辺縁が明瞭あるいは不明瞭な骨嚢胞様病変が掌突起の側副靭帯付着部に見られることがあるが、これは靭帯付着部の骨壊死によるもので、靭帯炎を伴う可能性が高い。
〇 蹄レントゲン・外内側像で、伸筋突起尖端から1〜2cm掌側の蹄関節面にレントゲン透過部位が見られることがある。関節鏡によって確定する必要があるが、一般的に、取り囲んでいる骨と軟骨は異常であり、外科的掻爬の反応は悪い。

 

<参考資料>
Clinical Radiology of the Horse 3e p.77-79