浅屈腱炎リハビリ期の装蹄法は?

浅屈腱炎のリハビリ過程で馬場にて速歩運動をするときにはheel-upしてはいけない、と言われているということは既にご紹介した。(浅屈腱炎のリハビリ期にはheel-upしてはいけない?
研究データを参考にするならば、常歩ではheel-upしても浅屈腱の負担はほとんど変わらないため、ウォーキングマシンや曳き運動で常歩させるときには、heel-upしても差し支えなさそうだ。(ただし、浅屈腱の負担が小さくなるわけではない)

 

では、浅屈腱炎のリハビリ過程で馬場にて速歩運動をするとき、どのように装蹄したら良いのだろうか。現時点で提示できるアイディアとして「蹄踵を沈み込みやすくする」ことが挙げられる。

 

蹄踵を沈み込みやすくすると浅屈腱の負担が減る?
特に深い馬場で運動する場合、サスペンサリー・シューを装着することで、浅屈腱の負担がわずかに小さくなる可能性がある。

 

エッグバーは要注意?
エッグバーを装着することで球節のトルク(モーメント)が小さくなるため、浅屈腱の負担を小さくすることができる、と考えられてきた。しかし、エッグバーを装着することで蹄踵が沈み込みにくくなるため、柔らかい地面上では heel-up 効果を生むことがある。(十分に深い馬場でなければその効果は無視できるほど小さい)
このため、浅屈腱炎のリハビリ期にエッグバーを装着する場合には蹄底充填剤を充填すべき、という意見がある。蹄底充填剤を充填することで、浅屈腱に大きな負担がかかるリスクを減らすだけでなく、蹄踵がさらに潰れるというエッグバーの大きなデメリットも緩和することができるだろう。

 

<参考資料>
Chateau H et al. (2006) Effects of egg-bar shoes on the 3-dimensional kinematics of the distal forelimb in horses walking on a sand track. Equine Vet. J. Suppl. 36, 377-382